なぜ日本でお米が食べられ続けてきたの?お米の歴史や魅力をご紹介♪

こんにちは。

「こめどりーみんぐ」スタッフの成田です。


最近もとても寒い日々が続いていますが、体調はいかがでしょうか。


さて、日本の主食として身近にある「お米」。

私の小さいころも、家の食卓や給食には8割くらいお米がありました。

日本では、昔からお米が主食として食べられ続けていますが、なぜ「お米」だったのでしょうか?


今回は、日本のソウルフードであるお米の歴史や今ならではの魅力について、いくつかの章に分けて書いていきます。



1.日本米のはじまり~現代までの流れ

日本の食卓で一般的に流通しているのは「アジアイネ」のうち「ジャポニカ米」ですが、ルーツは中国の福建米(ふっけんまい)であると考えられており、中国で栽培されていたものが縄文時代に日本に持ち込まれたとされています。

 

では、大陸から伝わった米は、その後どのように日本全国に伝わっていったのでしょうか。

日本のお米の歴史を、縄文時代から現代にかけて見ていきたいと思います。

 

元々、日本の食生活はクルミやカシなどの堅果類、つまりドングリが主でした。

 

縄文時代後期には、九州を中心として、既に稲作の文化が伝わっていたことが分かっています。

主にお米を煮てお粥などを食べていたようです。



弥生時代になると、稲作文化は急速に東日本に伝播し、北海道を除く日本全土へ稲作文化が伝わっていたと考えられています。

 

つまり、弥生時代は日本の食文化が堅果類から稲作に変わる転換期であったと考えられています。

お米の普及によって人口が増加し、日本人の体格も良くなっていきました。

 

現代の食生活にも繋がる主食+副食というスタイルは、1日2食ではあるものの、既に奈良時代に「常食」として確立していました。

ご飯を主食に一汁一菜が基本で、貴族の宴会などでは多くのおかずが並んでいたようです。

 

この頃から、おかずは少量でも種類を増やすことに重点を置いていたと考えられています。逆に、おかずの数を少なくする代わりに主食と漬物の数を増やし、味噌汁を添えるのが庶民の暮らしとなりました。

この暮らしは第二次世界大戦前まで続きます。



鎌倉時代~室町時代には二毛作、水車などの技術や肥料の発達により、生産力が上がりました。

大量の人出が必要になり、村の共同生活のローカルルールが生まれます。

 

この頃から「炊き干し法」が完成し、おいしいお米の炊き方も開発されました。



明治から税徴収をお米からお金に変え、農作物の生産力を上げるため本格的な品種改良が始まりました。

現在、日本でもっとも流通している「コシヒカリ」は、昭和31年に生まれ(農林100号)、昭和54年以降は30年以上連続で作付け面積第1位を誇っています。

 

その後も品種改良は進み、2019年現在、国に品種登録されているもので500種類、そのうち主食になるごはん用として作られているものだけでも271種類もの品種があります。



2.日本米の起源は?

 

稲は本来、日本には自生しない熱帯性植物だということをご存じでしょうか。

 

稲作の起源は約1万年前、中国長江流域の湖南省周辺地域と考えられています。

6000年前に、長江で栽培されていたお米が日本に渡り、日本での稲作が始まったとされています。

 

お米は大きく分けて、ジャポニカ米、インディカ米、ジャバニカ米があり、それぞれ、以下のような特徴があります。

 

ジャポニカ米:短く円形に近い形状で、炊くとふわりとやわらかくツヤがあり、粘りと弾力がある。

よく噛むと甘みがあり、冷めても劣化しにくい。炊いたり、蒸すなどの調理法が多い。

 

インディカ米:細長く、パラパラとした食感で粘り気が少ない。

あっさりとやさしい味わいで、カレーやピラフ、パエリアなど味付けをして食べることが多い。

 

ジャバニカ米:大粒で幅広く、あっさりとしているがジャポニカ米よりは粘り気が少ない。

調理法や食感はインディカ米に近い。



お米にも色々な種類があるんですね。

普段食べているお米は、3つのうちどれだと思いますか?



コシヒカリ、あきたこまち、ひとめぼれなど、現在の食卓でもよく見かけるお米は、大体がジャポニカ米なのです。

言われてみれば、普段食べているご飯も、ジャポニカ米の特徴に当てはまっているなと感じます!

 

6000年前、日本にやってきたお米もジャポニカ米だそうですが、品種改良を経て現在まで食べられ続けてきたんですね。

 

他にもお米がある中、日本ではなぜジャポニカ米が選ばれたのでしょうか?

 

日本では「口中調味」という独特の食文化があるのをご存じでしょうか。

ご飯とおかずを交互に食べ、口の中で味を作る昔ながらの文化で、噛む回数が増えて唾液を促進することで食べすぎや塩分、脂質の取り過ぎを防ぐことが期待できます。

 

ジャポニカ米は、この「口中調味」との相性が良かったのが、現在まで流通し続けている理由の一つと言われています。

 

また日照時間が長く、適度な気温の地域で育ちやすい点からも、日本と相性が良いのです。



3.全国へ広まった米作り

ジャポニカ米が日本と相性が良かったこともあってか、稲作は瞬く間に全国に広まりました。

 

時代とともに、煮る(お粥)から蒸す(強飯)、そして精米が普及し、炊く(姫飯)といった流れで調理法も増えてきました。

 

私は、風邪の時に母親が作ってくれた卵おじやが大好きで、風邪が治ってからも作ってくれとねだっていたものですが、お粥が6000年前から作られていたと思うと驚きです。

 

今度は、弥生時代に流行っていた蒸す調理法で蒸しご飯に挑戦してみたいですね。

やさしい甘みとうまみがあり、食感も良くなるようです。



調理法だけでなく、お米自体も品種改良が進み続けており、2022年産の水稲うるち玄米の産地品種銘柄数は、前年から28増え、921にものぼります。

※参考「日本農業新聞

 

お米には専門の方の評価を元にしたランクがあり、その中でも最上級の特A認定されているものが2022年では42種類あります。

 

お米の楽しみ方のひとつとして、自分に合うこだわりのお米を探してみるのも楽しいですね。



4.米 < 小麦の時代と米余り

これだけ日本と相性がよく、全国に広まったお米ですが、近年は輸入された小麦の消費が増え、国内生産のお米の消費は年々減っていますよね。

 

これは大きく「終戦後に小麦の給食が普及したこと」「食文化の簡素化」が影響していると考えられています。

 

終戦後、食糧難に瀕していた日本は、米国で戦争時の兵食として大量に保存されていた小麦を食糧援助として受け入れました。

 

それまで米主体だった日本で、パンを普及するために学校給食にも取り入れられ、少しずつパンが日本に普及していきます。



さらに、食文化の簡素化も進みました。

家での食事も、全員で集まって食事する家庭もあれば、別々の時間に冷蔵庫にあるものですます、といった家庭もあるかと思います。

そのため一汁3菜の食事も減り、すぐに食べられるラーメンやパンが増えた家庭も増えています。

 

実際に私も、高校に入ってから外出が増え、夜は一人でチキンラーメンや肉まんを食べていることも多かったです。

 

こうした背景から米の消費は減り、米余りが深刻な問題となっています。



5.米農家の減少

 

米の消費が減るとともに、米農家も減少の一途をたどっています。

 

表1 全国の水稲作付農家数、収穫面積、収穫量の推移

水稲作付農家数(戸)

水稲収穫面積(ヘクタール)

水稲収穫量(トン)

1985年

2,877,277

2,061,339

11,832,000

2020年

698,543

▼2,178,734

1,035,704

▼1,025,635

7,763,000

▼4,069,000

※参考 「米穀機構米ネット 2.米の生産関連情報



水稲とは水田で栽培する稲のことです。

わずか35年で、収穫量は2/3、収穫面積は1/2、水稲作付農家数は1/4にまで減っています。


また、食料自給率の観点で見ると、カロリーベースで1965年には73%でしたが、2020年にはなんと37%となっています。

近年、食の多様化や簡素化により、暮らしやすい世の中となっています。

一方で、米農家の減少に伴って田園や棚田が失われ、輸入に頼る割合が増えるなど、日本文化が薄れている側面もあります。

 

私は、ハンバーガーもパスタもピザも大好きですが、1汁3菜の和食や田園風景など、日本文化も大好きで、未来に残していきたいと感じています。

 

日本の魅力を再発見し、未来の日本人が今よりもっと可能性を拡げ、日本を好きになること。

こめどりーみんぐを通してお米の新たな魅力を発信することで、そんな未来に繋がればと考えています。

 

ここからは、現状のお米の多様な使い方と、これからのお米との付き合い方を考え、お米の魅力を発見していきたいと思います!

 

6.現在のお米の使い方

 

現在、お米は様々な商品となって流通しています。

例えば、健康食として。

玄米や雑穀米はミネラルやビタミンがたっぷり含まれていますし、麦ごはんは食物繊維が豊富なため、腸内環境を整えたい人に人気です。

近年、健康のために、小麦に含まれるグルテンを摂取しないグルテンフリーが流行っていますが、米で作られる米粉もグルテンフリー食品として流行っています。

米粉は小麦粉と比べて栄養素が豊富で、炭水化物のほかにタンパク質やビタミンなどを含んでいます。

ほかに、SDGsを実践する製品として。

お米を原材料とするライスレジンで作られたビニール袋は、通常のビニール袋よりも焼却時に二酸化炭素を25%削減できます。

これは、お米を育てる過程で二酸化炭素を吸収し、焼却時の二酸化炭素を一部相殺するからです。

 

つまり、お米はカーボンニュートラルにも繋がる「資源」としても活用され始めているんです。

また、日本の耕作放棄地を活用することで地域貢献にも繋がります。

※参考「MFG Hack

 

そのほかにも、米ぬかを利用したスキンケア用品や台所洗剤など。

 

お米は現在の需要に合わせて、様々な形で活用されています。



7.これからのお米との付き合い方

小さいころから当たり前のように食べていたお米ですが、裏では米需要の低下、米農家の減少、それに伴う食料自給率の低下など、いくつもの課題が隠れていました。

 

数字にすると、日本が抱える課題が浮き彫りになります。

「数年先も今の暮らしは続いているのか?」という危機感をどうしても感じてしまいます。

 

しかし、安心して夜道を歩ける安全性や、わびさび・おもてなしの意識などは、他にはない日本が築いてきた素敵な文化です。

そんな日本の未来が、もっと明るく楽しみになるような

活動ができたら、ほんの少し幸せな気持ちになります。



現代では、健康・グルテンフリー・小麦の高騰・SDGsなどの課題やニーズがたくさんあります。

日本のお米を活用して、それらの課題解決に貢献できるのではと思うと、なんだかワクワクしてくるんです。

 

お米の今ならではの新しい価値を発掘、発信し、お米を楽しみながら、課題解決にも取り組む。

そんなお米との付き合い方をしていきたいと思います。