東京都港区大門を巡るシリーズ(第三回):大門に残る門前町の面影と、今も息づく人の温かさ

東京都港区大門を巡るシリーズ(第三回):大門に残る門前町の面影と、今も息づく人の温かさ

門前町とは、単なる“参道”ではありません

忙しい日々の中で、いつもの通勤路やお散歩コースを少しだけ遠回りして、ふと立ち寄る街角。
それが、港区大門であれば、そこはかつて「門前町」として栄えた場所。

「門前町」とは、お寺や神社の門の前に自然と形成された小さな市(いち)や街並みのこと。
単にお参りの通り道、というだけではなく、人と人とが出会い、言葉を交わし、ほっとひと息つける“暮らしの交差点”だったのです。

今回はそんな大門の門前町としての歴史と、今も街のそこかしこに残る「面影」をたどってみましょう。

茶屋・土産物屋・芝居小屋…にぎわいの記憶

江戸時代、増上寺は将軍家ゆかりの寺として多くの参詣客が訪れる“聖地”でした。
それにともなって大門周辺には、自然とさまざまなお店や娯楽施設が立ち並ぶようになりました。

特に多かったのが、茶屋や和菓子屋、土産物屋などの飲食・物販店
旅の途中で立ち寄る人々のために、甘味や温かいお茶を提供し、季節ごとの行事や名物にあわせて賑わいを見せていました。

さらに、増上寺の周辺には芝居小屋や寄席(よせ)も点在しており、参拝だけでなく娯楽を楽しみに来る人も多かったとか。
現在の「芝大門」という地名も、その名残りとして受け継がれています。

当時の大門は、“信仰”と“娯楽”が同時に味わえる、まさに江戸の人々の「心のオアシス」のような場所だったのです。

今も残る老舗の味と、街角の温もり

そんな江戸のにぎわいは姿を変えながらも、今もこの街に息づいています。
たとえば、大門駅から歩いて数分の場所には、江戸時代創業の佃煮屋さんや和菓子店が今も暖簾を掲げています。

老舗のたたずまいには、背筋がすっと伸びるような品の良さと、どこか懐かしさを感じる空気が流れています。
ふと立ち寄ると、お店の方が「今日はどちらから?」なんて声をかけてくれたりして、その会話にほっとすることもしばしば。

大門の門前町文化は、「人のぬくもりでつながる街」というかたちで、今も引き継がれているのです。

そして現代の大門には、発酵食品を扱う専門店や、身体にやさしいランチを提供するカフェなども少しずつ増えてきています。
健康に気を配りながら、味わいも楽しめる——そんなお店が増えているのも、かつての「心と体を休める場」としての大門らしさかもしれません。

忙しい現代にこそ“門前町的な時間”を

多忙な毎日を送る中で、「誰かに選ばれたもの」や「長く大切にされてきたもの」に触れる時間は、心をふっと軽くしてくれます。

昔の人たちも、大門の門前町で甘味を楽しみ、誰かと語らいながら日常の疲れを癒していたのかもしれません。
そんな“ちょっとしたやすらぎ”のひとときを、今の私たちも大切にしてみたいですね。

たとえば、温めた甘酒を湯のみでゆっくり味わう。
そんな時間は、現代に生きる私たちにとっての「門前町的な時間」なのかもしれません。

当店「こめどりーみんぐ」の甘酒「糀ほわいと / 糀さくら」は、増上寺の子院である廣度院との共創で生まれた一品。
糀と国産米だけで仕上げたシンプルな素材の中に、ほっとする優しさと品のある甘さが詰まっています。

仕事の合間に。
夜のひととき、自分をいたわる時間に。
あるいは、日頃お世話になっている方へのギフトとして。

江戸の門前町がそうだったように、「人にすすめたくなる、そしてまた来たくなる」——そんな一杯を、あなたの日常にも。


次回は、いよいよ最終回。
東京タワーが建つまでの秘話や、大門と現代の「再生」の物語をテーマにお届けします。
街の過去と未来をつなぐようなお話になる予定ですので、ぜひお楽しみに。


門前町のぬくもりを、一杯の甘酒に込めて
50年の歴史を誇る老舗麹屋が仕立てた、無加糖のやさしい甘酒「糀ほわいと / 糀さくら」はこちらから:
商品ページを見る

×